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2005年04月18日

AdobeがMacromediaを買収

 びっくりです!マルチメディアコンテンツやWeb媒体の制作ツール最大手で、「Flash」「Director」「DreamWheaver」など多くの製作現場で使用されているツールや「ColdFusion」「Flash Communication Server」などサーバー製品などを提供しているMacromedia(マクロメディア)が、DTP制作ツールやフォント関連の大手Adobe(アドビ)に買収されると言うニュースが入りました[Adobe Press RoomITmedia]。Macromedia自体、決して小さい会社ではなく、最近ではAdobeよりも勢いのあるイメージがあっただけに、びっくりしました。
 歴史・規模はAdobeが1982年設立で総収入:12億9500万ドル(2003)、Macromediaは1992年設立で売上高:3億3690万ドル(2003)。Adobeが提供するツールは「Photoshop」「Illustrator」「InDesign」など紙媒体を中心(「Acrobat」は文書フォーマットの標準的存在ですがWebではコンテンツの一部としての利用に限られる)とした業界と「Premiere」のデジタルビデオを基本とした業界、Macromediaの先に挙げたツールはWebやCD-ROMコンテンツなどマルチメディアの業界、と現在では済み分けているような状態です。といっても、Adobeは「GoLive」(昔はPageMillというのがあったがCyberStudioを取り込むためGoLive Systems社を買収)「LiveMotion」(Flash作成ツール)というWeb制作ツールの売り上げは思うように上がらず完全にMacromediaの独断場、逆にベクター画像ツールであるMacromediaの「FreeHand」は日本において殆んど市場を持っていませんし、Webに最適化された「FireWorks」も、Adobeの「Photoshop」と「Illustrator」を使っている大多数のデジタルクリエーター達には魅力的ではなく、現在では「DreamWheaver」のおまけ的存在。意図していたわけではないが、微妙な住み分け状態となっておりました。
 Adobeは現在も大きく成長していますが、今後を考えると、現在提供しているツールのバージョンアップの分野では今後の大きな成長が見込めないこと、フォントのOpenType化による収入の激減、Macromediaの上記クリエーター向けアプリケーションや様々な業務用アプリケーションやサーバーアプリケーションによる市場制圧の脅威などがあったと思います。「住み分け」と先に表現しましたが、言い換えれば「市場に入り込めなかった」と言うわけで、この買収によりAdobeは「デジタルメディアクリエーション」の分野を完全に牛耳ることが出来るわけです。
 今回の買収は、The Wall Street Journal[ITmediaニュース掲載記事]では「AdobeとMacromedia合併で、MSの強敵誕生?」と表現されるほどのもので、その衝撃は大きいものです。ところで、Macromediaの名前はやっぱり消えちゃうんでしょうね。個人的に期待していた「Flash Paper」ってのも消えちゃうかな。残念。

投稿者 ねこたま : 23:51

2005年04月05日

Yomiuri Weeklyでブログに関するカンチガイ記事

 日本最大の新聞社である読売新聞。そのWeb版であるYOMIURI ONLINEのマネーニュースである@Money(アット・マネー)にて、「すでに100万サイト!大流行『ブログ』でストーカーに狙われる」と言うYomiuri Weeklyの特集記事がトップで扱われています。「@Money:マネーニュース」と言う経済・金融のカテゴリーなのに、トップ記事がストーカーについて? カテゴリーに関係ないと思われるが、どうやら雑誌「Yomiuri Weekly」の記事の一部がこのカテゴリー内に。なぜ独自のカテゴリーを作らなかったのでしょうか。まぁ、この部分はどうでも良いですが。

大流行の兆しを見せている「ブログ」。国内の開設数はすでに100万サイトに上り、本場の米国では、マスメディアと並ぶ「第五の権力」と呼ばれるほど影響力を増している。「日記感覚の手軽さ」が人気の秘密。だが、そこに意外な落とし穴が待ち構えている。さらに、非道な個人攻撃の温床となる危険性さえはらんでいるという。
 という過激な書き始めですが、ねこたま的には「ブログ」「『日記感覚』で被害」「ブログの『2ちゃんねる化』」など、昨今話題となり目を引く言葉を使った「アナタに忍び寄る犯罪」的な内容でありながら、肝心なブログの部分で多くの誤解があります。内容的には「個人情報をブログで公開してストーカーに遭う」「ブログで嫌な目に遭う事がある」と言うことですが、焦点は「ネットの匿名性と無秩序性による犯罪」ではなく、被害者のことを考えるなら「個人情報の発信など安易なネット利用による功罪」と、「正しい知識の必要性」の部分ではないでしょうか。小倉秀夫弁護士のトラブルの件は、「ブログの趣旨に合ったコメントのみがされる」という氏の理想と現実の部分であり、意図しない氏への人格を非難するコメントが「言論の自由への妨害」ともとれる文章があり、正直世の中甘く見すぎでは…と思うのはねこたまだけ? 登録者のみがコメントできたり、管理者がコメントを見て判断してから公開する、と言うシステムを導入することを考えたことは無いのでしょうか? また、
「実際、コメントスクラムで閉鎖に追い込まれたブログは多い」と小倉弁護士は言う。
とありますが、コメントは管理者が簡単に受付不可にしたり削除できます。閉鎖した理由は「嫌な思いしたからや~めた」ということであり、ブログのコメント機能自体の問題ではありません。
 2ちゃんねるに関連する事件でよく取りざたされるのは、この記事でも言っている「ネットの匿名性と無秩序性」ですが、個人が裁判を起こすのが難しい日本に於いて、匿名でない状態で、対企業などに対する意見を述べること自体が難しく、匿名性は個人が身を守る方法である、という部分を見落としていないだろうか(企業からお金を貰ってそんな記事は書けないか…)。しかも、
これまで「2ちゃんねる」などで暗躍していた彼らが、ブログの流行で活動の場を広げる可能性は高い。
とは、そういう考えを持っている人がいることこそが恐ろしい。「2ちゃんねる=悪の集団の温床」ですかね…。
 とにかく、本題となる「ブログ」に関する知識の欠如と誤解がもの凄いです。冒頭から
言ってみれば、ホームページ(HP)の簡単版。 ~中略~ ブログは、このデザインの手間をなくしたものだ。
 ( ゚Д゚)<ポカーン え゛…「ホームページ(HP)の簡単版」というのは間違っているわけではないが、簡単なのはブラウザーで簡単に記事の投稿でき、カテゴリー別など体系的な構成にすることが簡単に出来るCMS(コンテンツマネジメントシステム)が良く出来ている…と言う部分です。デザインの部分はブログの売りではなく、ブログを提供しているサービス側が多様なデザインを売りにするために用意したもの。ブログのシステムである「MovableType」などのツール自体にはデザインを変更するシステムはありません。また、ブログの説明で特に酷いのは
「『誤報』を流してしまった場合の影響が非常に大きいのです。限られた人しか見ていないHPなら内輪の訂正で済むが、ブログは、どこまで自分の誤報が伝わるかわからない」(森氏)
と言う部分。「HP=限られた人しか見ていない」「ブログ=際限無い」の構図は全く根拠が無く、正直独りよがりな内容。しかも、トラックバックの意味が全く逆です(ちょっと森氏の内容とトラックバックの関連性は微妙かな?)。トラックバックとは、情報の出所がここであると参照した側が善意でお知らせしてくれるシステムであり、自分のサイトの情報がどう扱われているか知ることが出来、しようと思えば誤報を訂正するよう要請する足掛かりとなるシステムでもあります。トラックバックを利用していない場合は、サイトで公開している内容が何処で参照・引用されているか分からず、また訂正してもその効果を知る手がかりが掴めません。残念ながらトラックバックをする側からの自動でリンクする機能が無いので、参照・引用する側は意図的に善意で参照・引用元のリンク等を挿入しなければなりませんが、情報元(ソース)を確立するシステムであるトラックバックは素晴らしいものだと思います。
 今回のような、特集やコラムなど個人記者が書いたであろう記事に関して、読売新聞自体でも明らかな情報・常識不足が以前から気にはなっていました。特に情報処理や経済分野でのこのような事が他紙に比べ多い気がするのですが、その分野での監修担当と言うのはいないのでしょうか。

投稿者 ねこたま : 23:17

2005年04月01日

2005年3月終了のアニメ総括

 いやぁ、今期も結構アニメ作品が多く、深夜なども番組が被りまくりでしたが、良作が多く楽しめました。でも、チェックしているのは深夜アニメが中心ですけどね。ねこたま的に楽しめた2005年3月終了のアニメ作品トップ5は以下の通りです。


  1. 舞-HiME】 美少女学園ラブコメ&召喚獣(?)なアニメで、正直最初はどうかな…って感じでしたが、4話でギャグ色&サービスシーンで萌え~、かと思いきや8話から始まる心痛むシーンが後半では加速し、登場人物たちがお互いを疑い、お互いを陥れ戦うシーンは手に汗握って見てました。チャイルドもねこたま的に萌え~だったし。同じ女性を好きになるビアンなキャラが出てきたり(少しイッちゃってる感じでしたが…)して、当サイトでも「『好き』の意味 -舞-HiME-」という記事を書きましたが、バディー等で有名なharukiさんも見ていたそうです[舞-HiMEにときめく。]。最終回まで見終わって、もの凄く楽しめた作品です。DVD買っても良いかも~と思える良作。ラジオ番組(ネット・CDも有り)が補足的なドラマもあってそちらもお勧め。週刊チャンピオン連載のマンガは別ストーリー。

  2. 月詠】 「ネコミミモードで~す♪」とオープニングから萌えを直球で狙った作品。毎回手が加えられるオープニング映像や番組最後にはマンガ・コミケ界で有名なイラストレーターが描く様々な「月詠」のイラストが映されるなどコアなオタク向け。ですが、建て物の断面図によるストーリー展開や、視聴者のツッコミを代弁して「たらい」や「ヤカン」が落ちてくるという「8時だョ!全員集合」(1969-85年・TBS)[DVD我が青春のドリフターズ]ネタが少し違和感あるし30代以上限定のギャグなのでどうなの?と思ったり。まぁ、最終回では舞台が回って(3DCGで再現!)歌のコーナーへ…というシーンまで再現してひっくり返りそうになりましたが。画のクオリティーとしては良い方なのですが、時々制作側が間に合わず(?)放送事故に近いほど「動かない」「低解像度」のシーンがあったりとゲンナリさせられました…。順次発売中のDVDはかなり修正を入れているようですが、その労力をテレビ放送時に費やして欲しかったです。

  3. ケロロ軍曹】 一旦この3月で終了し、4月1日(本日)からは金曜日18時へ移動となりました。予想以上に面白く、「イデオン&エヴァネタ キタ━(゚∀゚)━ッ!! 【ケロロ軍曹】」でも書いたように特に30代を狙ったギャグが多くツボに嵌りました。最終回は不覚にも涙してしまいました。本日、放送時間変更した第一話を見ましたが、懸念していたオープニングとエンディングの曲がイマイチで、子供受けにしなくて良いの?と言う感じ。エンディング映像は面白いと思ったけど。「更にパワーアップして~」と言ってますが、元々テンション高かったので視聴者の飽きとマンネリ化が心配。

  4. 巌窟王】 オタク萌え要素が少ない分、一般・女性にも人気があったという良作(MovieWalkerとのタイアップも影響か)。アニメーション制作のGONZOによるハイクオリティーな映像は圧巻。パターンスイッチャーによる2Dテクスチャーも最初は抵抗ありますが、とても美しく味がある映像となっています。得意の3DCGの部分は映像・演出共に素晴らしく、地下宮殿は圧巻。ストーリーはヨーロッパ文学を色濃く反映している感じでしっかりしており、最終話の後日談がストーリー全体を引き締めています。ちなみに主人公に片思いの萌え系美少女なキャラ「ペッポ」は男です。以前「『巌窟王』今夜放送」という記事を書きましたので、よろしければそちらも。

  5. ファンタジックチルドレン】 キャラクターデザインで深夜アニメとしては損をしている感がありましたが、中盤に掛けて「べフォールの子供」絡みの謎の部分が面白く、後半に向かうほど面白くなってきました。最終話はまとまっていますが詰めが甘かったり演出が余韻を残すような大人向けでなかったのは少し残念。「水のまどろみ(Russian Version)」の記事でも書きましたが、エンディング曲の「水のまどろみ」はお気に入り。

 上記以外では、宇宙戦での戦略性が面白かった「スターシップ・オペレーターズ」や、2つのストーリーが進行し最後につながる…と言う演出はちょっと分かりづらいけど映像や演出はそこそこ良く出来ていた「JINKI:エクステンド」、宇宙の3DCG映像以外は予想以上にロークオリティー(食事のシーンは2コマと、中割り無しでびっくり!さすがモッコス?)な「Xenosaga」などありましたが、やはり12~13話という1クールで終わってしまっては、ストーリー展開や感情移入は難しいですね。それでも良いって感じの作品ではありましたが。「JINKI:エクステンド」はコミックブレイドで連載中ですが、アニメも今後続編が作られるような雰囲気。スターシップ・オペレーターズは小説とコミックが進行中ですが、アニメの方はストーリーが完全に終わってますから今後は無いですね。
 4月から始まるアニメ作品も結構ありますが、ラインナップを見ると、さすがにネタ切れという感がしますね。ガラスの仮面はゲイにも人気のある作品のリメイクで、1年以上の企画との事ですが、どうでしょう…。連載中のマンガ、特に少女漫画のアニメ化も拍車が掛かっていて、どうやって終わらすのか心配。

投稿者 ねこたま : 23:35