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ハウルの動く城

 1月1日は「映画ファンサービスデー」で1,000円で見れるということで、今年最初の映画は「ハウルの動く城」を見に行きました。公開自体は昨年の11月20日でしたが、まだ見に行っていなかったのでわくわくしながら東宝系の新宿文化シネマへと足を運びました。元旦とはいえ午後になってしまったので混むかな?と思いましたが、それ程でもありませんでした。宮崎アニメということで親子連れも結構見受けられました。
 巷の評判では、スタジオジブリ作品の前作「千と千尋の神隠し」と比べると、声優にスマップの木村拓也や倍賞千恵子など超大物芸能人の起用がキャラクターと合っていないだの、ストーリーがイマイチだのと結構酷評が多かったのですが、逆に期待しすぎずに気楽に楽しめ、そんな前評判とは裏腹にねこたまにとっては大変楽しめる作品でした。
 冒頭の場面では、動く城の足のスピードがちと速いとか、羊の群れの絵が粗いなど気になりましたが、それ以降では粗は全く感じず、美しい風景、登場人物の演出の上手さ、ねこたまが大好きな西欧ファンタジー作品特有の展開など、どれをとってもねこたまの壷にはまる内容でとても楽しめました。ネットの論評で「子供向きではない」とありましたが、確かにそうかな、と思いました。というのも、火の悪魔カルシファーや犬のヒンなどの見た目で子供に受けそうなキャラクターは登場しますが、主人公が老人になるが不自由だけでなく歳を取ることで会得することを楽しむということ、戦争やサリマンとの関係が後半の要であるが説明の部分が弱く分かりづらい(敢えてそうしていると思いますが)、主人公が後半に実年齢の姿と老婆の姿との間を行き来する意味、そして、老婆の姿になった本当の理由というものが理解できないと面白く感じないかもしれません。また、ストーリーが完全に西欧ファンタジーの王道をいっているので、それをある程度許容できる人で無いと完全には楽しめないかな、とも感じます(逆にそれが鼻に衝くかもしれませんが)。
 CG映像という点において、今作品はとても自然に、かつ効果的に使われていて好感が持てます。動く城の機械的に派手に動く部分に目が行きがちですが、それがとても作品に馴染んでいるということにびっくりしました。既に様々な雑誌に掲載され知ってはいましたが、城が完全な3DCGではなく、3Dの部分と2Dを動かした部分を組み合わせているという仕掛けが大変上手く行っており、風の谷のナウシカの王蟲の体の甲殻の動きを表現するのに、いわゆるパンツのゴムを使用した時のような大発明が成功しているという感じです。建てものや風景は今作では意欲的に3DCGが採用されていますが、前作「千と~」のようにペインティングの部分との調和がとれており、2Dの部分においても重ねあわせにフォーカスの効果をつけ立体的に見せるなど、デジタルエフェクトを駆使して難しい表現を自然にかつ美しく見せているところが、セルからCGへ慎重かつ綿密に移行したスタジオジブリのこだわりを感じます(雑誌CGWORLD2月号で特集あり)。単純に3DCGのオブジェクトやエフェクトを使わず、宮崎アニメのタッチを守っているところが凄いと感じます。
 ストーリーに関して、もしも…と思ったことがあります。後半、ハウルを助けたいと思った主人公ソフィーのもとに、もし悪い魔法使い(もしくはサリマン)が「契約をすればハウルを助ける力を授けよう」と現れたら、どうするかな?と、ふと感じました。多分契約しちゃうんじゃないかなぁ~と勝手に想像してみたり。

2005/01/01 21:26